今回は、パラワンヒラタ、スマトラヒラタをはじめとする冬眠をしない、温暖な地域に生息するオオヒラタ系統の羽化から活動開始まで、僕が実践しているメス成虫の管理、仕上げ方法をご紹介します😊

最近よくお問い合わせ頂く事なのですが、メスの管理方法やゼリーの与え方、羽化後、間もない個体のフセツが落ちたり麻痺が見られる、産卵してもブヨブヨ病の幼虫が多く、しばらくすると溶けて居なくなる、なかなか交尾が成立しない、などなどのお悩みでご質問を頂きます。

ブリードして幼虫の飼育や検証を楽しむために、まずはある程度の幼虫を確保したいものです。ここでつまずかない為にも、ブリード個体における、メスの仕上げの重要性を今一度考察してみたいと思います。

今回は、人工蛹室ではなく、自然蛹室にて羽化させ、管理温度は20度以上の場合の管理方法となります。

メス幼虫を飼育している菌糸ボトルでは、容易に蛹室が確認できる場合がほとんどです。

蛹室はボトル側面に作られることがほとんど(ボトル面を樹皮と認識する為脱出しやすいように、ボトル側面に蛹室作成する場合が多い)なので、容易に羽化までの観察が可能です。

 

稀にボトル中心部に蛹室を作成する個体がおり、羽化のタイミングが分からない場合がありますが、その場合は、同じくらいの時期に菌糸ボトルに投入した幼虫が現在どのような状態なのかを基準に考え、既に羽化している個体が多ければ、慎重に掘り進めていくと、ボトル中心部で羽化していることが多いです。

稀に、絶賛蛹中や、前蛹の場合がありますので、人工蛹室を作成しないといけないパターンもあります😭あとは運です、、、😭

人工蛹室作成用にオアシスを一つ、手元に準備しておくと何かと役に立ちます。

ボトル外から蛹を確認できていれば、羽化までそっと見守りましょう。羽化した個体を確認できれば、そこから活動開始に向けての管理が始まります。

羽化から活動開始までの僅か3か月程度の管理が、ブリードにおいて、とても重要な項目の一つとなります。

まずは、羽化しそうな、既に蛹になっているボトルを見つけたら羽化までそっと管理します。刺激を与えない様に確認しやすい場所にて管理し、基本はボトルに触らずに目視にて確認することをお勧めします。

だいたい写真のように、ボトル中間から上部の側面に蛹室を作り、羽化します。見にくいですがビン上部の空間にて羽化しています。 

羽化して約一か月程度、蛹室内部にて体を作ってもらいます。

内臓はまだ不完全で機能していないと思われますので刺激を与えないように見守ります😊

羽化より一か月程度、どれだけ早くても二週間以上、おおかた体が固まってしまうまでは、自身が作成した蛹室内部にて、成熟させます。自身が分解吸収した食跡環境にて成熟させることが重要で、まず一つ目のポイントとなります。

このボトル内部の食跡環境は、メスが幼虫時に構築したバクテリア環境が整っていますので、羽化してからの体内成熟には最高の環境だと考えています。

天然個体では、羽化から活動まで、蛹室から外に出されることが無いので、より近い環境にて成熟させたるため、基本的には、活動開始まで羽化ボトルから出さないか、ケースを移す場合には、食跡を管理マットとして使用し、より自然蛹室に近い環境を意識する様にしています。

また、菌糸や環境によっては、とても使えないくらい、食跡がベチャベチャになってしまっている場合もあると思います。そんな時は、他個体の食跡を分けてもらうか、綺麗な新しいマットに少し食跡をまぜて管理しています。

ボトル外から羽化が確認できて一か月ほど経過後、羽化個体確認のため、少しずつボトルを掘り進め、個体のスペックや状態確認を行います☺️

羽化後一か月程度の個体は、体もしっかり固まっています。

このまま活動開始まで管理してもいいのですが、活動開始すると、高確率でボトル上部の通気穴あたりを顎で齧り、顎欠けするパターンが多いです🥺

空気が動く場所をめがけて脱出しようと試みるので、上部の通気穴を齧る場合がほとんどです。顎欠けは、なんとしても回避したいところです、、、

顎が欠けてしまうトラブルを回避する為、僕は下記写真のように、ボトルの三分の一程度まで掘り進み、ボトル上部まで簡単には登れないような環境にしています。

自身の共生バクテリア環境を生かしながら、蓋まで高さがあるので簡単には登れない管理法です😆

顎欠けなどのボディの損傷トラブルも回避できるのでおすすめです。

注意点は、乾燥しないよう、定期的に観察をしないといけません。

たまに、活動開始した元気なメスが、ボトル内部で羽ばたき、蓋まで到達することもあります😭活動開始する頃、羽化から二か月から3ヶ月あたりから、こまめに観察すると良いと思います。

だいたいこれくらいの深さまで掘り進め、下の写真のようにメスを投入し、転倒防止にティッシュを敷き詰め、軽く霧吹きしています。

おおかたこのような感じです😆

横から見た深さはこんな感じになります👍這っては蓋まで容易に到達出来ない高さです。

基本的には、このまま活動開始まで、乾燥に注意しながら寝かせます。

そして、管理温度や、個体により多少差はありますが、羽化後、二か月から3ヶ月経過したあたりより、活動が始まってきます。

生体の活動開始の判断の目安となるポイントがあり、個体が活発に動き始めますので、ケースやボトル側面に這い上がるようにジタバタしている場面を確認出来れば、まずその個体は体内もしっかりと出来上がり、摂食の準備も整ったものと判断して大丈夫です。

中には、這い出て歩いている場面が見られない場合もありますので、そのような場合は、転倒防止、保湿用に被せておいたティッシュを見てください。

下の写真のように、ティッシュがマットで汚れていたり、ボロボロになり、マットと混ざっていればほぼ活動開始と見なして間違いないと思っています。

本来は、下の写真のように、ティッシュは綺麗な状態なので、違いは一目瞭然です☺️

ここまでうまく管理できれば、メスの体内はじっくり、しっかりと作られていますので、後の産卵などのトラブルはグンと減ります😊

さて、活動開始した個体を確認できたら、お腹がすいているだろうと、ゼリーをすぐさま与えたくなるものですが、まだグッと堪えてください。

天然個体では、動き出してすぐに樹液場に行くとも限らないですし、後食前にオスと交尾するパターンもあると思います。

樹液場にすんなり到着出来ない場合、何も食べず飛翔し、移動しながら雨水や、他の昆虫を摂食するメスもいると思います。

初めて機能するであろう体内の臓器にかかる負担を軽減するため、僕は活動開始から数日程度、写真のようにしっかりと水をふくませたティッシュ等で水分のみを摂取させています。

ゼリーをあたえるまでの、このワンクッションあるだけで結構メスの状態が変わります。

そしていよいよ、ゼリーを与えます。初期の段階では、動物性タンパク質が入っていない、DDAさんの植物ゼリーを与える様にしています。

新しい成虫の体内は、タンパク質豊富ですし、補う必要はあまり感じられないのと、寝起きに肉って重たいよねってゆう考えです😆笑笑タンパク質の過剰な摂取ってやはり新成虫には良くないのではと感じています。

産卵開始と共に、僕はどんどんタンパク質を摂らせています。

管理の基本として体内負担の軽減に一番重きを置いて管理しています。

そして、羽化から四か月から半年程度経過して、ペアリング、産卵へと移っていきます。

このように順序を追って、メスをしっかりと仕上げる事は、大型個体の作出、ブリードのストレスや失敗の軽減におおいに役立つと共に、トラブルも起きにくく、幼虫の健康な身体作りにも役立ちます。

羽化後半年程度、しっかりじっくり成熟させることで、ペアリングも面白いほどすんなり成功するようになります。

産卵数アップや、産まない、早く落ちるなどのトラブル回避にも役立ちます。

後食前の個体のケースにそろそろ食うだろうとゼリーを入れるのもNGです。

これは活動後の生体の状態に大きな悪影響を及ぼす要因となります。

難関種と言われる種類ほど、このような、自然の状態に近い仕上げが、ブリードの成功の鍵を握ります。

産卵をするのはメスですので、メスの仕上げはクワガタブリードにおいて、最重要視するポイントであるべきだと思っています☺️

文章力がなく申し訳ないですが、少しでも飼育のお役にたてれば幸いです。

コメント

  1. こんばんは~
    素晴らしい、管理方法だと思います!
    流石、トップブリーダー様です!!

    1. イヨンさんありがとうございますー!!まだまだ要勉強あるのみです!🙇‍♂️イヨンさんと比べたら僕なんてまだまだです🙏いつもありがとうございます😊

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